Integrated Marketingとは?

BtoBでIntegrated Marketingと呼ばれている手法には、さまざまな建て付けがある。例として、SaaSのサブスクビジネスのケースを説明しよう。まずWebサイトをどんなターゲットデバイスでも綺麗に表示されるようにレスポンシブデザインで用意する。その際に、それぞれのページに、検索されたり、URLをSNSで共有されたりすることを想定して、ページタイトルや概要、ogイメージを用意しておく。また、すべてのページにCTA(Call To Action)を用意する。Webサイトのコンテンツは、どのようなペルソナに対して、カスタマージャーニーの認知、興味、検討、決定などの、どの過程の内容を訴求するのかを明確にしておく。

そして、SEO/SEMでWebへの訪問者を増やすと同時に、PRや広告で認知度を向上させるのだ。日本のBtoBでは従来の新聞、雑誌メディア、そのデジタル版への露出が効果があるだろう。あまり知られていない企業名や製品やサービスなら、認知度の高い企業や業界の著名人との対談記事が効果的だ。そして、ある程度、認知度の向上ができたら展示会への出展、セミナーのスポンサー登壇、ホワイトペーパーや調査レポートなどのコンテンツシンディケーションでリードの獲得を行う。そして、リードの獲得により、メールマーケティングを実施して、ナーチャリングのためのコンテンツへのランディングページへ誘導をする。ここで、最近、もっとも良く使われているのはウェビナーだと言える。コンテンツは、ペルソナとカスタマージャーニーを考慮して、TOFU、MOFU、BOFUで、別のものを、それぞれのチャネルで共通で用意する。

ウェビナーで集客ができたら、実施後に、アンケートを実施して、インサイドセールスが参加者に連絡をとってBANT条件 – Budget(予算)- Authority(決裁権)- Needs(必要性)- Timeframe(導入時期)について聞き込みを行う。ここでは、レスポンスタイムが重要となる。ウェビナー実施後3日以内に連絡をするのが鉄則だ。ここで、ある程度、導入検討をしていることがわかったらセールスに話をつなぐ。BANT条件はなかなか把握するのが難しい場合が多い。BANT条件を把握せずに、アポイントをとるだけのインサイドセールスも多いかもしれない。ナーチャリング前のリード獲得時にもコールをすることで、取りこぼしを減らせるが、この段階ではなかなか商談には繋がらない。Webサイトへのコンテンツへのアクセスをポイントに換算することでエンゲージメントを数値化して、あるスレッシュホールドを超えたらクオリファイドリードとしてインサイドセールスがコールをする運用をしている企業が多い。

企業名や製品、サービスが認知され、理解され、検討が開始されるまでの流れ、つまりはカスタマージャーについて、ここまでかなり大雑把だが説明をしてきた。このような流れを作り出すには、まず、購入決定に関与するお客様が、どんな方なのか?ペルソナの仮説を立案する必要がある。そして、その方が初めて企業名や製品、サービスを認知してから購入に至るまでの流れがカスタマージャーニーだ。カスタマージャーニーに沿って、さまざまなコミュニケーションチャネルを組み合わせて実施するのがIntegrated Marketingなのだ。ペルソナの行動を理解し、同じメッセージをSNS広告やターゲットのメディアのディスプレイ広告やDSP広告などで配信してLPに誘導するのだ。チャネルと、TOFU、MOFU、BOFUを決めつける考え方は、実験して効果を確認していないのでリスクが高い。

BtoBはロングテールキーワードが効果的

もう5年以上前のベンチャー企業での経験だが、ロングテールキーワードがBtoBで効果的だということに気づいた。当時は、自動運転車の開発で必要だった、車両の挙動の正確な把握のためのGPSとIMUを組み合わせた測定器のビジネスに取り組んでいた。同時に、CentOS上でENGIXを走らせて、Fast CGI CacheやSSL構築、PHPとWordpressを自ら導入して、ページデザイン、コンテンツ、フォーム、メールマーケティングなどすべて手がけて、Google AnalyticsとSearch Consoleを週1で確認してPDCAを回していた。

具体的には、今後、自動運転車を開発、試験するために、自動車メーカーで測定器を導入、検討するだろうと考えられる設計者や試験室が何に困っているのか?仮説を立案して、その課題に対する解決策を、ドイツの自動車メーカーの導入事例を交えて、解説するソリューションページのコンテンツをまず制作してみる。そして、オーガニックサーチの検索ワード、その検索ワードの検索状況などを確認する。すると結構、ロングテールの自然言語で検索されていることがわかる。そして、その検索ワードで他のサイトを閲覧して情報収集しながら、さらにアクセスが上がるようにコンテンツの内容を深堀して充実させていったのだ。

コンテンツの制作と、ロングテールキーワードの検索状況を連動させていくことで、現場の困りごとを把握して、その解決策を効果的にコンテンツに盛り込んでいくことが可能になる。伝統的な「〜するには?」、「〜とは?」は、ニッチな領域なら、コンテンツを厚くしていくと、その特的の領域にいる多くの人に役立つ情報となり、Googleによって強調スニペットに選ばれることも可能だ。だからBtoBはロングテールキーワードが効果的なのだ。

MarTechが注目されている理由

なぜ、MarTechが注目されているか?その理由は、簡単だ。MarTech先進国の北米では、広告支出の中心がモバイルを中心としたインターネットであり、その投資対効果をあげるためにMarTechが必要不可欠だ。そして、日本でも、2019年にデジタル広告支出がTV広告支出を抜いたため、米国発のMarTechが注目されているのだ。

全世界的に、若年層のテレビ離れが進展し、VODや、YouTube、TikTokが普及している。Facebookもその傘下のInstagramもショートムービーを強化している。LINEもショートムービー機能を提供している。北米では、ブランデッドムービーが人気だ。そして、日本でも多くのBtoC企業がYouTubeにTVと同様の広告を配信している。

インターネットは、テレビとは違う。誰がいつどこで何を観たか?そして、その後にどのような行動をしたかが、大まかに把握できる。だからこそ、これらのエンゲージメント情報をデスクトップとモバイルのブラウザだけでなく、SNSやその他のアプリを通じて把握して、広告の投資対効果をあげることができるのだ。そのためにはMarTechが必要だ。